
目次
始まってからでないと、成果が見せられない事業の苦難
コンサルティング、営業代行、マーケティング支援——。
こうした無形商材は、サービスを受ける前に、その価値を具体的にイメージしてもらうことが難しい。
製品のように実物を見せたり、デモを触ってもらったりすることもできない。
そのため、初めて接点を持つ相手に「何ができるのか」「どのような支援をしてくれるのか」を伝えるには、
実績や経歴だけでは十分でないこともある。
実際に価値を提供できる自信があっても、その価値を知ってもらう前に、そもそも話を聞いてもらえない。
無形商材には、そんな最初の壁がある。
株式会社REFOLMOも、創業間もない時期にこの課題に直面していた。
その状況を大きく変えるきっかけとなったのが、自社で運営するオウンドメディア「REFOLMO Med」だった。
メディアの立ち上げから約3ヶ月。
発信を続ける中で、営業の入り口や信頼の作り方、さらには新たな接点の生まれ方まで、
少しずつ変化が起き始めた。
本記事では、株式会社REFOLMO代表・川越雄太氏へのインタビューを通じて、
オウンドメディアがコンサルティング事業の営業とマーケティングに
どのような変化をもたらしたのかを紐解いていく。
同社について

株式会社REFOLMOは、医療機関向けのメディア運営と経営支援を手がける企業。2026年1月末の創業である。
代表取締役の川越雄太氏は、新卒で船井総合研究所に入社し
医療分野のコンサルティングに従事。
その後、医療系人材紹介会社での経営企画、DXメーカーでの営業、
マーケティング部隊の立ち上げを経て、オンライン診療クリニックの事務長を務めた。医療業界を支援する側と経営する側の両方から経験してきた人物だ。
現在は全国のクリニックに向けて採用・教育・定着といった組織課題から、
マーケティング、業務効率化まで幅広く支援している。
また、ウェビナー、オンデマンド動画、資料、記事コンテンツをまとめた
「REFOLMO Med」というメディアも運営されている。
創業初期にメディア立ち上げという選択
創業してまず取り組んだのが、メディアの立ち上げだった。
ただしそれは、綿密な戦略に基づく判断ではなかったという。
コンテンツマーケティングの経験があったので、創業した時点でメディアを作りたいとは考えていました。
コンテンツを通じて接点を作っていくことの有効性は感じていた一方で、
今のREFOLMO Medの形や、コンサルティング事業にここまでつながるところまでを
最初から設計していたわけではありません。
まずはメディアを立ち上げて、運用しながら形を作っていった、という感覚です。
川越様
なぜ、YouTubeではなかったのか
発信の手段としては、YouTubeという選択肢もある。
プラットフォーム自体が集客力を持つ以上、ゼロからオウンドメディアを立ち上げるよりもはるかに手軽だ。
それでも川越氏は、オウンドメディアを選んだ。
判断の基準は、手元に何が残るかだった。
YouTubeのチャンネル登録者って、視聴いただいた方の情報は残らないじゃないですか。
チャンネル登録だけだと、実際に見てくださっている方がどんな方なのかまでは分かりません。
ビジネスとして継続的に関係を作っていくことを考えると、その違いは大きいと思っています。
川越様
チャンネル登録者が何万人いても、こちらから連絡を取る手段はない。
相手が動画を見に来てくれるのを待つしかなく、こちらから接点を作ることができない。
一方、オウンドメディアで視聴登録を取れれば、メールアドレスが残る。
メールマガジンを起点に、こちらから定期的に接点を作れる。
一度きりの視聴ではなく、関係を続けられる相手として蓄積されていく。
検討期間が長く、複数回の接触を経て信頼が積み上がる商材では、
こちらのタイミングでリーチ出来ることそのものが価値となる。
BtoBのステップマーケティングという観点でも、継続的に接触できる方を増やしていけることは大きい。
単発で動画を見てもらって終わるのではなく、その後も接点を持ちながら関係を深めていける。
「今思うと」メディアを立ち上げたのは正解だったと思いますね。
川越様
数を集めるのではなく、関係を深められる相手を集める。
この判断を元に制作したメディアが、コンサルティング事業における2つの壁を壊すことになる。

コンサルティング事業が直面する2つの壁
メディアが動き出してから数ヶ月。
川越氏が振り返って語ったのは、コンサルティング事業が構造的に抱えている壁の存在だった。
①初期接点の壁
コンサルティングサービスは、最初の一歩が重い。
名刺を交換し、「コンサルティングをしています」と伝える。
その瞬間に、相手が身構えてしまう。特に同社の場合には、創業から間もない。
相手からすれば、実体の見えない人が営業に来た、という以上の情報がない。
契約の手前ではなく、その前段の、向き合ってもらうこと自体にハードルがある。
私がコンサルティングだけをやっています、と言っていたら、
今ご契約いただいているクリニックの中にも、
最初の段階で話を聞いてもらえなかったところはあったかもしれません。
川越様
価値を伝える手前で、話が終わる。それが最初の壁となる。
②信頼してもらう壁
話を聞いてもらえた後も、次の壁が待っている。
信頼してもらうために、実績をどう伝えるかが勝負になる。
だが、そこにも制約がある。
支援の中身は、個々のクリニックの状況や課題に深く踏み込むものが多く、
その内容をそのまま外に出せるとは限らない。
また、過去の支援実績があったとしても、置かれている状況や課題はクリニックごとに異なる。
そのため、実績を紹介するだけでは、「自院に対してどのような支援ができるのか」まで
十分に伝わらないこともある。
また、「コンサルティング」という言葉が指す支援の範囲は広い。
知識やノウハウを伝えることを中心とする支援もあれば、相手の状況を整理し、
課題の特定から実行まで伴走する支援もある。
しかし、外から見ればその違いは分かりにくく、
いずれも「コンサルティング」という同じ言葉で括られてしまう。
そのため、「コンサルタントです」と名乗るだけでは、
どのような支援をするのか、どこまで踏み込むのかまでは伝わりにくい。
結果として、相手が慎重な姿勢から入ることも少なくない。
自分自身も、初対面でいきなり「コンサルティングをしています」と言われたら、少し身構えると思います。
川越様
メディア運営がもたらしたメリット

名乗りが変わると、相手の姿勢が変わる
同じ相手に、同じ名刺を渡す。
だが伝える内容が「コンサルティングをやっています」から「医療経営のメディアを運営しています」に
変わっただけで、相手の姿勢が変わった。
売り込みに来た人間ではなく、メディアを持っている人間として扱われる。
名刺の裏に印刷したメディア用のQRコードが、その場で見せられる実体になる。
メディアがなかったら、ご縁がなかった企業も多いと思います。
川越様
そして変化は、それだけではなかった。
自分から接点を作らなくても、他者が作ってくれるようになったのである。
「コンサルティングサービスを提供してます、誰か紹介してください」 だと、誰を紹介していいか分からない。
でも「メディアをやってます、一緒にウェビナーに登壇してくれる人を探してるんです」と言った瞬間に、
圧倒的にハードルが下がるんです。
川越様
依頼の質が変わっている。前者は相手に「誰が買いそうか」という判断を求めるが、
後者は「知り合いにいるかどうか」を思い出すだけでいい。
しかも紹介される側にとっても、売り込まれる話ではない。
だから「知り合いの誰々でよければ」という形で、紹介が生まれるようになった。
そこで売上にならなくても構わない。応援してくれる人が増えることそのものが、次の接点を生んでいく。
向き合ってもらうという最初のハードルは、名乗りを変え、
その裏付けとなるメディアを持つことで越えられた。
発信と企画の積み重ねが、メディアの信頼につながった
実績以外に信頼を獲得する手段が乏しい。
その状況を、メディアは2つの方向から変えている。
ひとつは、川越氏自身がウェビナーや動画を通じて発信を続けることだ。
無形商材の価値は、資料だけでは伝わりにくい。
しかし30分から1時間、実際に話す場に立てば、
何を課題として捉え、どこから手をつけ、どんな順序で考えていくのか。
その人自身の考え方や支援のスタンスまで伝えることができる。
ウェビナーや動画は、それを一対多で届けられる場でもある。
視聴者は営業を受けるためではなく、自身の課題を解決するために参加している。
だからこそ、通常の営業とは異なる形で考え方や専門性に触れてもらうことができる。
さらに、二度、三度とコンテンツを見てもらうことで、少しずつ接点が積み重なっていく。
実際に相談や商談の場で初めて会ったとしても、
その時点ですでに川越氏の考え方を知っている状態から話を始められる。
もうひとつは、登壇者の存在である。
それぞれの領域で専門性を持つ方々にご登壇いただけていることは、本当にありがたいことだと思っています。
そうした方々にご協力いただくことで、扱えるテーマやコンテンツの幅も広がってきました。
その積み重ねが、結果としてメディアそのものの価値や信頼につながっていると感じます。
川越様
REFOLMO Medには、医療の現場で実践を重ねてきた専門家や、
さまざまな領域で実績を持つ企業・専門家が登壇している。
そうした方々に協力してもらえる機会が増えることで、扱えるテーマやコンテンツの幅も広がり、
それがメディアそのものの価値につながっていく。
そして、コンテンツや登壇者が増えることでメディアを知る人も増え、
そこから新たな登壇や共催の相談につながる循環も生まれ始めている。
ご一緒いただける企業や専門家の方が増えて、コンテンツも少しずつ増えてきました。
その積み重ねがメディアとしての信頼につながって、
そこからまた新しくお声がけいただく機会も増えてきています。
本当にありがたい循環だと思っています。
川越様
自ら発信することで、川越氏自身の考え方や専門性を知ってもらう。
そして、さまざまな専門家や企業にご協力いただきながら企画を重ねることで、
コンテンツの幅も広がり、メディアとしての価値も少しずつ積み上がっていった。
その積み重ねは、やがてメディアの外にも波及していく。
カンファレンスへの招待や、クリニック経営者のクローズドなコミュニティでの講師依頼など、
外部から声がかかる機会も増えた。
今では月に1回程度、外部で登壇する機会が生まれている。
創業間もない一人のコンサルタントとして声をかけてもらうより、
メディアを運営し、 継続的に発信している人間として見てもらえる方が、信頼してもらいやすいんだと思います。
自分がお声がけする立場でも、その違いは大きいと感じます。
川越様
信頼が積み上がる動線が形になっていく
メディアで信頼が生まれるとしても、それは見に来てもらえた場合の話である。
まず、ユーザーを集めるところから設計が必要になる。

REFOLMOが組み立てた動線はこうだ。
Meta広告やウェビナーを切り抜いたYouTubeのショート動画からメディアへ流入し、
ウェビナー視聴登録でメールアドレスを取得する。
登録項目はメールアドレスと立場のみに絞り、ハードルを徹底的に下げている。
そこからはメールマガジンで定期的に接点を持ち、ウェビナーや記事コンテンツへ案内する。
複数回の接触を重ねた先に、無料相談という出口を置く。
一度きりの視聴で終わらせない。接点を重ねながら、関係を深めていく設計である。
獲得したリードが、その場で商談に繋がるわけではない。
だが接点を持ち続けられる相手として蓄積されていれば、相手が必要とするタイミングで想起される。
何度も見ている相手であれば、その時点で既に判断材料は揃っている。
チャンネル登録者ではなく、メールアドレスを取ること。
オウンドメディアを選んだ判断が、この動線の起点になっている。
接点を次につなげる、もう一つの選択肢
そしてもうひとつ、川越氏自身も当初は想定していなかった変化があった。
REFOLMOの支援先はクリニックである。
クリニックから相談を受けた場合には、経営課題を聞きながらコンサルティングの提案につなげていく。
一方で、医療機関向けにサービスやソリューションを提供する企業と接点を持った場合、
必ずしもコンサルティングの提案をする相手ではない。
そこでメディアがあることで、
「一緒に共催ウェビナーをやりませんか」
という、別の形で関係を深める選択肢を持てるようになった。
企業側にとっては、自社の専門性やサービスを医療機関に届ける機会になる。
REFOLMOにとっても、医療経営に役立つ新たなコンテンツを届けることができる。
その場ですぐに取引につながらなくても、双方にメリットのある形で接点を続けられる。
メディアを持ったことで、せっかく生まれた接点をその場限りで終わらせず、
相手に応じた次の一手を持てるようになった。
メディアを支えたプラットフォーム「ネクプロ」
ここまでの変化は、メディアが早期に立ち上がり、一定の水準で実装され、
かつ運用され続けたからこそ生まれている。ではそれを支えたのは何だったのか。
構築スピード
通常、オウンドメディアを一から制作すれば、数ヶ月以上はかかる。
ただ、REFOLMOが実際にネクプロを利用し始めて、メディアが形になるまでに要した期間は、
およそ1ヶ月だった。
1ヶ月以上待った記憶はもうないですね。もうできた、という感覚だったので
川越様
特に創業期において、この数ヶ月の差は決定的である。
立ち上がるまでの期間は、何も生まない期間でもあるからだ。
では、なぜこれが可能だったのか。
ひとつは、設定そのものがシンプルなことだ。
操作自体で「これができない」というのは、ほぼなかったんじゃないですか
ページの構造も配信の設定も、迷う場面がほとんどなかったですね
川越様
そしてもうひとつが、デザインを作り込む必要がないことである。
ネクプロのデザインテンプレート自体が整っているため、
手を加えなくても公開できる水準に達する。ゼロから設計する工程が丸ごと不要になる。

デザインの検討に時間を取られず、操作にも詰まらない。
だから立ち上げの大半は、コンテンツを揃える作業に充てられる。
実際、この速さは今も日々の運用に効いている。
ウェビナーの共催企業から素材を受け取れば、最短翌日には申込ページが公開できる。
手を動かし始めてから公開までの距離が、極端に短い。
掲載できるコンテンツの幅
メディアに載せたかったのは、ウェビナーだけではなかった。
オンデマンド動画、ホワイトペーパーなどの資料、そして記事コンテンツ。
メディアに訪れた人が必要な情報にたどり着けるよう、
形式の異なるコンテンツを一箇所に集約する必要があった。
動画は動画配信ツール、資料はダウンロードフォームのツール、記事はCMS——と分けてしまえば、
管理も運用も費用も分散する。
それぞれのツールでリードが分断され、動線も繋がらない。
ネクプロには、ウェビナー配信に加えて
動画配信、記事コンテンツ公開機能と資料ダウンロード機能が備わっている。
一つのメディアの中に、すべてを並べることができる。
この要件を、この価格帯で満たせるツールは他になかったという。

目指すは医療経営のNetflix
医療経営に関する情報は、ネット上に溢れている。
だが川越氏が目指しているのは、その中の一つになることではない。
まず、載せる内容に基準がある。
外から見て言うのと、中で言うのでは全然違うことがありましたし、
「知っている」と「出来る」のは全く違う
川越様
コンサルタントとして外から関わった経験と、事務長として中で経営した経験。
その両方を持つ川越氏だからこそ、この差は身をもって分かる。
だからこそ、机上の理論だけではなく、現場での実践や具体的な事例を重視している。
クリニックには様々な情報が集まってくる。
だが、その中のどれが自院にとって有効なのかは分からない。
判断の材料になる情報こそが求められている。
その一つひとつのコンテンツが積み重なった先に、川越氏が描く姿がある。
とりあえず一旦このメディアを見れば、なんか見つかるかな、みたいな。
「なんか困ったな、一旦ここ見とくか」みたいな感じになりたいと思ってます
川越様
困ったときに、まず開かれる場所。
検索して情報収集する手前で、選択肢として思い浮かぶ存在になること。
この構想を、共催相手はひとつの言葉で表現したという。
登録も無料で、気軽に登録できて、 本当に先生にとって有益なコンテンツが好きに見ることができる
医療系のNetflixみたいになりたいね、と言っていただいて。
川越様
まだ遠い。ただ向かう方向としては、分かりやすい表現だとも川越氏は語った。

さいごに
最後に、無形商材を扱う企業に向けて、川越氏にメディアを持つことの意味を聞いた。
無形商材は、実際に話してみないと価値が伝わりにくい部分が大きいと思っています。
自分自身の考え方や、自社がどんな価値を提供できるのかを知ってもらうためにも、
メディアを持つことは強くおすすめします。
大きなメディアでなくても、まずはウェビナーから始めるだけでも意味はあると思います。
川越様
実績を並べるだけでは、その人がどのように考え、どのように支援するのかまでは伝わらない。
名乗るだけでも、その違いを理解してもらうことは難しい。
だからこそ、コンテンツを通じて考え方や専門性に触れてもらい、少しずつ接点を重ねていく。
REFOLMOの事例が示しているのは、メディアが単なる集客の場ではなく、
自社の価値を知ってもらい、信頼を積み重ねていく場にもなり得るということだ。