ウェビナーは「セミナーをウェブで配信したもの」であるため、講師が1つのテーマに沿って話し、参加者が全員同じ内容を同時に視聴している様子をイメージされる方が多いでしょう。
しかしウェビナーは、そのようなセミナーと呼ばれる形式以外に、展示会形式にも対応しています。
今回は、クリエイター向けの就職合同説明会をウェビナーで開催した、CGWORLD様(株式会社ボーンデジタル)の導入事例をご紹介します。弁護士ドットコム株式会社の飯田様を交えてお話を伺ってきました。
ウェビナーを活用した取り組み
-前半は御社について、また、ウェビナーを導入するきっかけやネクプロを選んだ背景について伺いたいと思います。後半は飯田様も交え、自社ではなくクライアントが講師となるウェビナー配信について、お話を伺えればと思います。まずは御社について教えてください。
西原(以下、敬称略):
弊社はクリエイターをサポートすることをミッションとし、大きく2つの事業を展開しています。1つはソフトウェアのリセラー事業でクリエイティブツールを代理店販売しています。もう1つが出版事業部で、クリエイター向け書籍や雑誌「CGWORLD」を出版しています。私は主に「CGWORLD」に携わっています。
「CGWORLD」は1998年に創刊した月刊誌で、主にゲームや映画、アニメなどのクリエイター向けに情報を提供しています。映画「スター・ウォーズ」や「トイ・ストーリー」で有名なピクサーの誕生など、CG界における技術革新が起きていた頃は多種多様なCG専門雑誌が出版されていましたが、現在は「CGWORLD」が唯一の月刊誌となります。
また、弊社では「CGWORLD」というメディアのブランドを活用し様々なサービスを展開しています。その1つとしてイベントの開催があります。
-イベントは最初からオンラインで開催していたのでしょうか?
西原:
業界的にスキルアップを望む人が多く、最初はオフラインでイベントや講座をよく開催していましたが、コロナ禍となりそれを徐々にオンラインに移行しています。
もともと5年ほど前から「CGWORLD」のPRのために、某ライブストリーミングサービスも利用していました。その経験があったのでオンライン配信に関するノウハウはありました。また、「CGWORLD Online Tutorials」というCGクリエイター向けの日本語チュートリアルサービスも新型コロナウイルスが流行する以前から運営していたので動画を配信するということには慣れていました。
そして今年になってコロナ禍となり、オフラインで開催していたイベントもオンライン化することにしましたが、このような経験があったので移行はスムーズでした。
-某ライブストリーミングサービスを以前から利用されていたとのことですが、そのサービスからネクプロに変えた理由を伺えますか?
西原:
私たちのネクプロの使い方は少々特殊な使い方かもしれません。
というのも、セミナーではなく、いわゆる就職イベントのオンライン化だったからです。合同説明会と呼ばれる、複数の企業が集まり、各ブースで企業説明会を行ったり、主催者側が大きな講演会を用意したりする中で、参加者が自由に見たいものを選ぶことのできるタイプのライブイベントです。1セッションのみであればただ主催者が配信するだけでいいのですが、合同説明会なので各企業のブースがあって複数のセッションが同時進行していく形を実現できるプラットフォームが必要でした。
ネクプロでは「管理者権限」とは別に「講師権限」を作成できるため、企業ごとにキャンペーンを作成し、講師権限を振って各社のブースとして使用することができました。他ツールでは「各自で動画配信ツールを使ってください」というところが多く、その方法では参加者はA社の説明会に参加するためにツールαを使って、B社のためにツールβを使って、というように出入りが面倒になってしまいます。また、出展企業が自分たちでツールを用意する必要もあります。加えて、様々なツールを使用されると主催者としてすべてをサポートすることが難しいのも難点でした。一方、ネクプロなら各企業が使用するツールも統一することができ、ブースを分けつつ、参加者はネクプロ1つで自由に複数のセッションに参加できます。
-実際にネクプロで合同説明会を実施してみて、出展企業様や参加者からはどのような反応があったのでしょうか?
西原:
出展企業様に関していえば、当日はスムーズに配信ができたようです。事前に配信マニュアルを配布していたのもありますが、企業ごとにキャンペーンを用意しているため、分かりやすかったのだと思います。
参加者に関していえば、特に遠方の方は東京に来る交通費などもなくなるので参加しやすくなったのではないかなと思います。以前開催した合同説明会では、地方の専門学生はみんなでバスに乗って会場まで来ていただくこともありました。弊社が東京に拠点を構えているため、イベントの9割は東京開催となりますが、オンラインになったことで、遠方にお住まいの方でも参加しやすくなり、実際に関東以外の方からも視聴いただけていました。
クライアントが講師を担当する際のポイント
-本日は弁護士ドットコム株式会社の飯田様にも同席いただいておりますが、貴社も弁護士ドットコム様も、自社が講師としてウェビナーを配信するのではなく、クライアントが講師となる利用のされ方をしています。クライアントがウェビナーを配信することによって、開催後のレポート提出や報告が発生すると思いますが、そのあたりはどのように対応されていますか?
西原:
ネクプロは一気通貫でシステムを構築しているので、ウェビナー参加者のデータベースもネクプロ内に構築することができますよね。しかし、弊社ではMA(マーケティング・オートメーション)でリードを管理しています。そのため、MAで参加者ごとにユニーク番号が割り振られているため、メールでユニーク番号を「出席番号」として送信し、事前アンケートの項目に「出席番号」という項目を用意して記入してもらいました。後から出席番号とMA側の番号を紐付けて、誰がどの講座を見たのかをわかるようにしています。
飯田(以下、敬称略):
弊社も同じく、申込みの管理は別にしています。ログインIDとして個人のアドレスと入力して欲しい文字列をそのまま送信し、ログイン画面で入力してもらう仕組みにしています。
西原さんは、クライアントへのレポートとしてどこまでデータをまとめていますか?就活イベントなので、実際に説明会に参加した方が内定者になったか、というところまで見ていらっしゃいますか?西原:
そこまでは、データでは追えませんが営業がクライアントからヒアリングしたりはしています。開催後、クライアントへのフィードバックとして、何人が説明会に来て、どのような属性だったかなどは提出しています。講師権限ではそこまでは確認できませんので。
-クライアントの慣れ、不慣れに関してはいかがでしょうか?
西原:
やはり慣れている方もいれば、不慣れな方もいらっしゃいます。
ブースに関しては各社にお任せしていますが、主催者側が用意するセッションでは、
- 最初と最後だけlive配信し、本編は事前収録
- MeetやZoomなどの会議システムで画面共有しながらlive配信
- スタジオに来ていただきlive配信
の3パターンの方法を用意して柔軟に対応できるようにしています。慣れている方はご自身でZoomやGoogle Meetを繋いで配信される方が多いのですが、慣れていない方はスタジオに来ていただいて事前収録することが多いです。やはり事前収録ではトラブルがおこりづらく、また、映像の編集や撮り直しが簡単ですので、1番安心できる方法だと思います。
飯田:
Zoomが本番で落ちてしまった、という話を聞いたことがあります。御社ではいかがですか?
西原:
弊社では今のところありませんが、他社でそのようなトラブルがあったと聞いたことがあります。
弊社では、もともとノウハウがあったのでオンラインへの移行がスムーズでしたが、当日のトラブルに関しては今でも苦労しますね。何があるかわかりません。ネクプロを使ったイベントではなかったのですが、実際に配信前にZoomが繋がらず、繋がったのが本番10分前で余裕がなくなってしまったことがあります。結果、余裕がなくて声が配信されていなかったり…・・・準備の時間は暇な時間があるくらいじゃないと駄目だと思います。なので、講師の方には早めに入っていただいて、何かあっても対応できるくらいの余裕を持つことが大切ですね。
昔に比べて場数をこなして対応方法はわかるようになってきたとはいえ、まだまだ素人です。
飯田:
収録とliveではどちらの方が良いと思いますか?西原:
それぞれメリットもデメリットもあると思います。
事前収録のメリットはやはりトラブルが起こりづらいということですね。最初と最後をlive配信にして本編を事前収録した動画にしているケースでは、動画を流している間はずっとチャットを見ていただいて、参加者から質問があればテキストで返信していただいています。そのため、最後の質疑応答の時間が短くても参加者の質問には多く答えることができます。
一方、live配信では参加者からの質問や反応に応じて、途中で内容を臨機応変に変えることができます。
今後のウェビナー活用について
-今後のウェビナーの活用について、課題やこうしていきたいというビジョンはありますか?
西原:
MAとどのように連携させていくかは課題ですね。
また、演出の面にも力を入れていきたいです。今、様々な企業が動画配信を強めてきていますし、個人の方でも簡単に配信できる世の中になっています。みんながやっていなかった頃は素人感のある動画でも大して問題ではありませんでしたが、今はそうはいきません。個人の方でも映像としての質を高めようとする人は必ず出てくるでしょう。私たちはメディアとして配信していますし、中には有料のイベントもあります。質の面について、もう一歩上に行きたいと考えています。
画面にタイトルを表示させたり、背景を装飾したり、TVのワイプのように同時に2つの画像を映したりできるとおもしろいかもしれませんね。
飯田:
弊社でも講師の画面背景に何も設定していないと少し寂しく感じるので、確かに背景に何かあるといいですね。
西原:
少し凝った「おっ」と思われる要素のひとつですよね。
また、ライティングも難しくていつも悩みます。登壇者の見栄えをよくするにはライティングは重要な要素なので、ちゃんとやりたいなと思います。
これが撮影用の会議室の写真です。部屋の電気が蛍光灯でフリッカーが入ってしまうので、蛍光灯を消してライトで照らして撮影しています。
音に関しては、無指向性のテーブルマイク、アナウンサーが使っているようなグースネックマイクの両方を使っています。だいぶ機材周りはよくなりましたがノイズにはいつも悩まされます。ミキサーで低い周波数の音を削ったり、ソフトウェアで抑制したりして、可能な限りノイズが入らないように気を付けています。
飯田:
会議室で対策をしていても、緊急車両の音が入ってしまうことがあります。仕方がないのですが。
西原:
弊社は千代田区役所の隣なので、1日3回チャイムが鳴ります。収録の場合は撮影を止めれば良いのですが、liveのときはどうしても入ってしまいます。最初はどうしようかと思いましたが、参加者の反応を見ても大丈夫そうなので講師によっては、逆にネタにして笑いを誘ったりしています。
飯田:
様々な工夫をされていて、一度見学に行ってみたいです。
-質に関してはエンタメ系特有の悩みですね。
西原:
映像としての質を高めたからといってビジネス的に直接繋がるかというと違うかもしれませんが、やはりクリエイター向けのメディアなので。リアルの会社説明会で見栄えの良い企業は印象も良いと思いますが、オンラインでも同じだと思います。まだまだ勉強中ですができることから始めていきたいと考えています。
-最後に、これからウェビナーを始める方に向けてアドバイスをお願いします。
西原:
アドバイスができるほどではありませんが・・・・・・。
取りあえずやってみるのがいいと思います。私の場合、ディレクションは前職の経験がありましたが、配信のオペレーションは分からず、初めてウェビナーを配信する際は一から調べました。
いきなりすべてをうまくやるというのはなかなか難しいと思います。私たちもまだまだ完璧ではないと思っていますし、課題は山積みです。しかし場数をこなして徐々に慣れることで、できるようになっていきますよ。方法はインターネットで検索すれば見つかります。
「配信って難しいのでしょう?」「大掛かりでしょう?」と質問されることがありますが、配信自体はそこまで難しいものではなく、極端な話、カメラをセットして話せばいいだけです。1番困るのはトラブルが起こったときにどうすればいいか、という点で、場数を踏むことで対応できるようになります。場数を踏むためにもまずはやってみるというのが1番だと思います。
さすがに初めから有料で配信するのはリスクが大きいですが、まずは気軽に無料で配信してみてはいかがでしょうか?
-本日はありがとうございました。
まとめ:ネクプロを導入した結果
株式会社ボーンデジタル様の事例をご紹介しました。株式会社ボーンデジタル様がネクプロを導入した結果を整理してみます。
- 合同説明会をオンライン化できた
- 権限を分けることで、クライアントごとにブースを用意できた
- 参加者はネクプロ1つだけで複数のセッションを自由に視聴することができた
- 関東以外からの参加者を獲得できた
今回はウェビナーの活用方法として少し特殊なケースでしたが、セミナーだけでなく展示会や合同説明会などでもウェビナーを活用できるという非常におもしろい事例だったのではないでしょうか。コロナ禍によりイベントや展示会の開催が困難になっているのであれば、株式会社ボーンデジタル様のようにオンラインに移行してみるのをおすすめします。
ネクプロは導入前にデモ版をご利用いただけます。
イベントのオンライン化に興味のある方は、是非お気軽にお問い合わせください。