近年では、ICTを駆使して業務の効率化を図る企業が増えています。しかし、実際に新規システムを導入して業務を効率化しようにも、コスト面で困難な企業も存在しているのが現状です。そこで2017年に登場した「IT導入補助金」が、今注目されています。
今回の記事では、IT導入補助金の目的や申請方法、注意点などを紹介していきます。
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目次
IT補助金の目的
IT補助金とは、経済産業省が企業への支援策として展開する「IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金)」のことです。中小企業および小規模事業者などの医療や製造業、小売業、宿泊業といった組織形態・業種を問わず、ITツールの導入費用に対して国が補助金を支給する制度です。
各企業が自社の特徴と課題に合ったITツールを導入し、売上向上や生産性向上を目指すことを目的として展開されています。
IT補助金の種類
IT導入補助金の種類は、通常枠のA、B類型と特別枠のC類型があります。各区分によって制度が異なるため、それぞれ詳しく確認していきましょう。
IT補助金通常枠(A、B類型)
対象者はサービス業や製造業、建設業などを営む中小企業とサービス業や製造業などを営む小規模事業者です。
中小企業の場合は、業種によって対象可否の規定が異なり、資本金(資本の額または出資の総額)が5,000万円~3億円以下、常勤社員が100~900人以下のどちらか一方が該当する場合のみ対象となります。例えば、卸売業は資本金が1億円、常勤が100人と定められているので、資本金が3億円であっても常勤が99人であれば補助を受けられます。
なお、医療法人や学校法人、社団法人、特定非営利活動法人なども補助の対象となり、この場合に資本金の定めはなく、100~300人以下、または常勤社員の主たる業種に記載の従業員規模以下であることが要件です。
一方、小規模事業者は、資本金に関する規定はありませんが、従業員数が宿泊業・娯楽業を除く商業・サービス業は5人以下、宿泊業・娯楽業を展開するサービス業と製造業その他の業種は20人以下が対象となっています。
また、通常枠は、6つの業務工程のうちITツールが担う工程の数と導入費のうち補助金額が規定以内であるかどうかによって申請区分が異なります。補助率はA・B類型ともに1/2以下で、6つの業務工程とA・B類型の区分の詳細は以下のとおりです。
- 業務工程
- 顧客対応・販売支援
- 決済・債権債務・資金回収管理
- 調達・供給・在庫・物流
- 業種固有プロセス
- 会計・財務・資産・経営
- 総務・人事・給与・労務・教育訓練・テレワーク基盤
- A類型
6つの業務工程の内、1つ以上の業務を担うソフトウェアを導入し、補助される金額が30万~150万円未満であることが要件です。 - B類型
6つの業務工程の内、4つ以上の業務を担うソフトウェアを導入し、補助される金額が150万~450万円以内であることが要件です。また、B類型は事業実施効果報告の義務があり、2022年から2024年までの3回実施する必要があります。
なお、算出した経費が補助金額の下限額を下回っている場合は、A類型でしか申請することができません。ただし、IT補助金がB類型での交付決定がされた後に、対象経費が要件より下回っていた場合でもB類型として事業実施効果報告を行います。
対象となる経費は、案内サイトで公開されているツールを導入する際に発生するソフトウェア費、導入関連費などです。
IT補助金特別枠(C類型)
C類型は、2020年に新型コロナウイルス感染症が企業活動に与えた影響と、感染拡大防止のための対策として2020年に新設された枠組みです。具体的な施策に取り組む事業者を支援する目的で作られた制度で、補助率がA・B類型より拡充されていたり、2020年4月7日(火)以降で公募前に導入していた場合も対象になったりといった違いがあります。
補助対象者の資本金・常勤社員の要件は通常枠と同様です。補助対象費はソフトウェア費、導入関連費に加えハードウェアの導入で発生するレンタル費も補助を受けられます。
また、C類型は導入するITツールによって「C類型-1」と「C類型-2」に分かれます。詳細は以下のとおりです。
- C類型-1
「顧客への製品供給の継続を目的としたITツール(甲)」のみ導入した場合が対象で、補助率は2/3以内です。 - C類型-2
「オンライン上で対面・サービスの提供を可能にするためのITツール(乙)」、または「テレワークで業務を行う環境を構築するためのITツール(丙)」のどちらか1つ以上を導入した場合が対象で、補助率は3/4以内です。
補助金の上限額は、30万~450万円です。
新型コロナウイルス感染症の状況次第では、期間の延長や再度の申請受付がなされる可能性があります。申請を希望する場合はしっかり情報をチェックしましょう。
IT補助金の申請方法、手順
まず、事前準備として「IT導入支援事業者・ITツール検索」にアクセスし、自社の業種および事業規模、解消したい課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを検討します。なお、IT導入事業者とは、ITツールの提案・導入や経営診断ツールを利用した事業計画の策定の支援し、各種申請・手続きのサポートをしてくれるパートナーです。
また、「gBizIDプライムアカウント」が申請時に必要なので、アカウントを未取得の場合は「gBizID」ホームページより取得します。申請は以下の3つのステップに分かれています。
- IT補助金への理解を深める
「IT導入補助金2020」や公募要領で条件や注意事項などを確認します。 - 申請
IT導入支援事業者と事業計画を共同で作成します。交付申請はIT導入支援事業者より「申請マイページ」の案内をもらい、必要事項の入力と書類の添付。IT導入支援事業者側がITツールの概要や事業計画値などを入力し、内容に齟齬がなければ宣誓後に申請します。 - 補助事業の実施
「交付決定通知」の受領をもってITツールの契約・導入に着手します。事業が完了した後は事務局へ事業実績報告を行います。報告内容に基づいて補助金額が確定し、確定後1ヶ月程度で交付されます。
注意点としては、C類型を除きA・B類型は交付決定以前にITツールの契約・導入によって発生した経費は補助の対象外です。また、事業に関係する証憑書類は破棄せずに保管しておきます。
IT補助金の対象ツールの探し方
補助金の対象となるITツールは、「IT導入支援事業者・ITツール検索(https://www.it-hojo.jp/applicant/vendorlist.html)」から検索します。
地域や対応する業種による検索条件を入力して検索すると、IT導入支援事業者と取り扱っているITツールが表示されます。
検索結果は、申請者の近隣にあるIT導入支援事業者が優先的に表示されますが、IT導入支援事業者として登録されていても登録しているITツールが存在しない場合は、検索結果に表示されません。
検索できる条件は以下の項目を入力します。
- 取り扱い業種(複数選択可)【入力必須】
- 営業エリア【入力必須】
- IT導入支援事業者の法人名
- コンソーシアム名
- 改善を希望する業務工程の区分
- セキュリティ認証の有無
- 甲乙丙ツール事業の対応可否
- ハードウェアレンタル事業の対応可否
コンソーシアムとは、IT導入支援事業者の登録条件に単独でなれなかったものの、条件を満たしている構成員と組んで登録している事業者を指します。
検索結果の会社名に「スマートSMEサポーター(認定情報処理支援機関)」というマークがある企業は、中小企業の生産性向上・経営基盤を強化するITツールを提供する事業者として認定された企業であることを表しています。
IT補助金を利用する上での注意点
IT補助金を申請する際はいくつかの注意点があります。ここでは5つのポイントをご紹介します。
必ずしも申請が認められるわけではない
IT補助金は全ての企業が申請できるわけではなく、企業規模や資本金、事業内容が補助金の対象に当てはまらなければ申請することができません。
また、交付申請を行う時点で日本国において登録されている個人または法人であり、日本国内で事業を展開していること、交付申請の直近月に申請者が営む事業場内最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であることが前提条件となっています。
審査における加点項目がある
IT導入補助金の申請における審査には、5項目の加点対象となる取り組みが存在し、加点されることでより審査に通る可能性が高くなります。詳細は以下のとおりです。
2020年度からgBizIDプライムアカウントが必須に
gBizIDは、マイナンバーの法人版と呼ばれる法人番号を活用したシステムです。法人番号を活用してgBizIDアカウントを取得すると、1つのIDやパスワードで複数の行政サービスにアクセスすることが可能になります。
gBizIDはエントリー・プライム・メンバーの3種類に分けられており、IT導入補助金の申請にはプライムアカウントの取得が必要です。アカウント取得には、発行してから3か月以内の印鑑証明書の原本と登録印を使用した申請書の提出が必須で、アカウント取得までの期間はおよそ2週間程度です。
自社がIT導入支援事業者である場合は補助対象外
IT導入補助金の申請要件の中に、「IT導入支援事業者は申請をすることができない」と定められています。ただし、前年度以前にIT導入支援事業者として登録していた場合でも、今年度の登録を行っていない場合は申請が可能です。
IT補助金を利用した場合、事業実施効果の報告の義務がある
IT導入補助金の交付が決定した企業は、ITツールを導入してから1年間の生産性向上に関する経過報告を「事業実施効果報告」で行うことが義務付けられています。
決算期など実績値の算出が困難な場合は、集計可能な任意の1年間または、直近の実績値から予測した値で報告します。なお1度提出された事業実施効果報告書は修正できないため、入力ミスがないようにしましょう。
実際はITツールを導入していなかったなどの虚偽・不正が発覚した場合はペナルティの対象ですが、計画未達成の場合にペナルティなどが課されることはありません。
ネクプロもIT補助金の対象です
弊社が提供する「ネクプロ」は、会場で行われているセミナーとウェビナーの一元管理から配信までを行える総合型のプラットフォームであり、顧客生涯価値を最大化させるマーケティング施策構築に役立つITツールとして多くの企業から支持をいただいています。
数千~数万人規模のウェビナー開催にも対応し、配信した内容は録画できるのでクローズドオウンドメディアとしてもご活用いただけます。
また、Web・視聴履歴、アンケート分析機能も備わっているため、顧客に最適なキャンペーンの立案からアクションの実行をサポートいたします。
ネクプロは、このたびIT導入補助金2020の対象ツールに認定されました。そのため、これから新たにネクプロの導入を検討される方で要件の対象となる中小企業または小規模事業者の方は、IT補助金制度を利用して低コストで導入していただけます。
2021年以降も対象ツールになるよう準備していく予定ですので、2020年の申請に間に合わなかった方は、ぜひ来年以降の申請をご検討ください。
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